固定資産の管理、始めませんか?

2019/10/29 #棚卸し

ご担当者にとって、大きな負担ともなっている固定資産管理。
作業効率向上やスムーズに管理を行うためのポイントなどをご紹介します。

そもそも固定資産とは何か?

一般的に固定資産とは、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち、

  • 土地(土地の上に存在する権利を含む)
  • 減価償却資産
  • 電話加入権その他の資産

のこと、とされています。

分かりやすく言うと、販売する目的で保有する資産でなく、資産1点あたり10万円以上で、1年以上使用する予定の資産のこと、と理解しておくと良いでしょう。

たとえば自社ビルや社用車、PC、サーバー、特許権などが固定資産に該当します

固定資産の分類方法

固定資産のうち、実体のあるものを有形固定資産、実体のないものを無形固定資産といいます。

先に挙げた例では、自社ビル、社用車、PCは有形固定資産、特許権は無形固定資産となります。

サーバーは少し複雑で、実体のある物理サーバーは有形固定資産、実体のない仮想サーバーは無形固定資産となります。

法則を覚えてしまえば簡単ですね。

また、固定資産は、会計処理の方法から「固定資産」「一括償却資産」「少額減価償却資産」と分けることもできます。

どの会計処理を行うのかは、物品の取得価額や会社規模、事業の状況により決定します。

固定資産の二面性
会計上の管理と物品(現物)管理

こうした固定資産を管理する、というときに多くの方は減価償却計算や固定資産税の申告などを思い浮かべると思います。

すなわち会計上の管理です。ERPや固定資産管理用のパッケージシステムを導入して処理を行っている会社が多いのではないでしょうか。

ところが、固定資産管理にはもう1つの要素があります。

それが、物品管理。いわゆる固定資産の現物の管理のことです。総務部門の担当者の方はこちらの方が馴染み深いかもしれませんね。現物の配置場所・利用状況の把握や、年に1~2回行われる「棚卸し」などを行うあの業務です。

このように、固定資産の管理は「会計上の管理」と「物品そのもの、現物の管理」の二つの側面があります。そして、特に「物品そのもの、現物の管理」のみを指す言葉として、「物品管理」という言葉が用いられています。

固定資産の「物品管理」が必要とされる
3つの理由

会計上の固定資産管理が重要なのは言うまでもありません。納税額は漏れなく正確に申告する必要があります。

では、物品管理にはどのような意義があるのでしょうか。ここからは、固定資産の「物品管理」が必要とされる3つの理由を解説しましょう。

1.経費削減

まず第1に、物品管理には、会社の財産が有効に活用されているかどうかをチェックすることで無駄な経費を削減するという役割があります。

固定資産は「事業の用に供する」ことを前提とした会社の財産です。

利益に貢献するための財産として有効に活用されなければなりません。

たとえば、総務部門が購入していたPCが余ってしまい、未開封のまま複数保管されていたとしましょう。それを知らない営業部門が新入社員全員分のPCを新規購入してしまったとすると、どうでしょう。総務部門が死蔵している未開封のPCは使用されることのないまま減価償却され、費用となっていきます。経費を削減したい場合には困ってしまいますね。

このような事態を避けるため、会計上の管理だけでなく、その資産が実際に現場でどのような状態にあるか日頃からきちんと把握するために、物品管理が必要なのです。

2.必要な固定資産税の把握

第2に、必要な固定資産税を把握するために不要な資産を洗い出す、という役割があります。

もし物品管理が無ければ、現場では誰も使っておらずただ放置されているだけの固定資産があることに、経理担当者は気が付かないでしょう。

当然、廃棄されることもなく除却処理もされないままになってしまいます。

物品管理を徹底すれば、遊休品・修理中・廃棄予定など各物品のステータスを把握・共有することができます。

経理担当者はこの情報をもとに正確な償却資産税の算出ができる、という訳です。

3.セキュリティ対策

第3に、購入から利用・処分までルールに則って適切に処理されているかを確認する役割があります。

固定資産は、消耗品などと比べると高額になります。万が一、持ち出したまま紛失してしまえば、機密情報の漏洩につながる可能性もあります。高額な物品であれば経営に打撃を与えることになるかもしれません。

そうしたリスクを減らすために、物品の貸出し・持ち出しや、修理・廃棄による稼働状況の変更、オフィス移転・人事異動などに伴う保管場所・使用場所の変更などがあった場合には、随時管理台帳に記録し、現物と紐づけて厳密に管理する必要があるのです。

つまり、会計の観点だけでなく、セキュリティの面からもルールに則って管理される必要があるということです。

POINT

  • 固定資産は体系的な管理体制「固定資産管理」が必要である
  • 固定資産管理には「会計上の管理」と「物品管理」の二面がある
  • 「会計上の管理」は文字通り会計に関わるので重要である
  • 「物品管理」は「経費削減」「必要な固定資産の把握」「セキュリティ対策」のため必要である

次回は、具体的な固定資産の管理方法についてご案内します。

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  • 記載内容は、株式会社ネットレックスが作成したものを一部改変して転載したものです。

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