脱炭素の鍵は熱エネルギー?
中小企業の脱炭素対策と進め方を解説

・脱炭素に取り組む企業の割合は、大企業78.4%・中小企業38.5%である。しかし、中小企業の多くはノウハウや資金面が課題で踏み込めないケースであり、脱炭素取り組みへの重要性は認識している。
・今後重要になる「熱エネルギーの脱炭素化」に向けたアプローチして、高効率化・省エネ、燃料使用設備の電化、低炭素燃料への転換が挙げられる。
・三菱HCキャピタルグループの「省エネソリューション」では、補助金活用も含め脱炭素に向けた取り組みをサポートできる。

脱炭素施策に取り組む企業の割合

脱炭素施策に取り組む企業の割合は、企業規模ごとで以下のように差があります。

  • 大企業:78.4%
  • 中小企業:38.5%

参照:独立行政法人日本貿易振興機構|脱炭素化へ大きな波―中小企業に求められる「算定と把握」

一方、中小企業の中で「気候変動対応やCO₂削減に係る取り組みの重要性を理解している」と回答した割合は、以下のように過半数を超えています。

  • 中規模企業:64.1%
  • 小規模事業者:65.4%

参照:中小企業庁『2025年版 中小企業白書』第1部 第2章 第1節「脱炭素化・GX」

このように多くの中小企業は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが重要である旨を十分に理解しています。しかし、「資金やリソースが不足している」「脱炭素化を推進できる人財がいない」といった問題によって、なかなか実行できない企業が多いといえます。

脱炭素社会の実現に向けた企業の取り組みは今後も加速する

日本では2050年ネット・ゼロの実現に向けた目標として、2025年2月に「2035年度・2040年度において、温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%・73%削減すること」という新たな削減目標を掲げました。
国としても、環境基本計画や地球温暖化対策推進法、地域脱炭素ロードマップの策定などを実施しており、今後も脱炭素社会の実現に向けた取り組みは加速すると予想されています。

参照:環境省 脱炭素ポータル「2050年カーボンニュートラル実現に向けた国の検討と具体的な取組を紹介します」

取り組み推進に伴い、大企業からサプライチェーンに対する「脱炭素化に向けた要請」も増加しています。

大企業からサプライチェーンに対する「脱炭素化に向けた要請」も増加している

大企業のサプライチェーン排出量(Scope3)の中には、サプライヤーによるCO₂排出が含まれています。例えば、飲料メーカーの場合は「農作物を製造するビニールハウスで使用したエネルギー」「出荷した飲料の販売時に小売企業が使用したエネルギー」などが該当します。脱炭素社会の実現を進めるには、こうしたサプライヤーによるCO₂の排出も削減が必要です。

そのため、大企業から中堅・中小サプライヤーに対して、「脱炭素化に向けた協力要請」も増加傾向にあります。

  • 2020年:7.7%
  • 2021年:10.2%
  • 2022年:15.4%

参照:環境省|サプライヤーエンゲージメント事例集 p.2

このように、企業規模やサプライチェーンにおける役割を問わず、あらゆる企業に対して脱炭素社会の実現に向けた取り組みが求められています。

今後は「熱エネルギーの脱炭素化」が重要になると予想される

こうした脱炭素に向けた取り組みが進む中で、今後はとくに「熱エネルギーの脱炭素化」が重要視されると予想されています。

2023年12月時点において、世界における熱エネルギーの最終エネルギー消費量は「49%」を占めています。そして、熱エネルギーの源として「72.5%」を化石燃料に依存している状態です。日本の2030年のエネルギー需要見通しでは、「熱・燃料など(運輸も含む)」が7割以上を占めるといわれています。

そのため、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、エネルギー消費削減や電化の促進、代替熱源の利用促進といった取り組みを通じた、「熱利用での脱炭素化」が不可欠であるといえるでしょう。

参照:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構|再生可能エネルギー熱利用への 期待と課題 p.8

「熱エネルギーの脱炭素化」に向けたアプローチ

「熱エネルギーの脱炭素化」に向けたアプローチとしては、主に以下3つが挙げられます。

  • 高効率化・省エネ
  • 燃料使用設備の電化
  • 低炭素燃料への転換

高効率化・省エネ

高効率化・省エネを達成することで、少ないエネルギーで効率的にシステムや設備を稼働できます。

【メリット】

  • 老朽化設備の更新や設備の運用改善など、大掛かりな投資をせずとも無理なくCO₂排出量を削減することが可能です。大きな初期投資が難しい中小企業にとって、高効率化・省エネ施策は優先順位が高くなるでしょう。
  • 少ないエネルギーでシステムや設備を運用することで、毎月のランニングコストを削減できます。

 

【留意点】

  • 設備導入や改修工事が必要な場合は、初期費用がかかります。
  • 設備を扱える専門知識を持つ人財が必要です。
  • 省エネではCO₂排出量を0にはできないため、削減効果は限定的です。

 

【代表的な取り組み事例】

  • 蒸気配管やバルブなどの断熱を強化することで、配管などからの放熱損失や結露による断熱性能の低下を防止する。
  • 集中ボイラー方式からヒートポンプの分散設置に切り替えることで、熱のロスを大きく抑えながら工場排熱を熱源として利用し、省エネを図る。

参照:
環境省|蒸気配管・蒸気バルブ・フランジ等の断熱強化
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構|できる、省エネルギー!産業用ヒートポンプ博書p.6

燃料使用設備の電化

燃料使用設備の電化とは、空調や給湯などの燃料を使用する熱源設備を、電気設備へ切り替えるアプローチです。

【メリット】

  • 燃料コストを削減することで、ランニングコストを減らせる可能性があります。
  • 火災リスクを軽減できます。
  • CO₂フリー電力を導入することで、熱エネルギーの脱炭素化を実現できます。

 

【留意点】

  • 各種機器の導入には、多額の初期費用が必要です。
  • ヒートポンプなどの効率がよい電気設備に対応できる熱需要は限定的です。例えば、温水など温度帯の低い熱需要はヒートポンプで対応できますが、100℃以上の高温帯は対応が難しくなります。
  • 燃焼設備のほうが小型でパワーがあるため、熱需要が大きい場合、ヒートポンプの導入が難しいケースがあります。
  • 機器の種類や使用方法によっては、光熱費が割高になるケースがあります。

 

【代表的な取り組み事例】

  • 灯油が燃料の温水ボイラーから、電力で稼働する業務用エコキュートへ更新することで、エネルギーコストを大幅に削減する。また、NOxやSOxの排出抑制にもつながる。
  • 吸収式冷温水機を高効率ヒートポンプ(チリングユニット・ターボ冷凍機等)へ更新(電化)。吸収式冷温⽔機(定格冷房能力703kW、定格暖房能力588kW)を同等の能力を持つ複数台のヒートポンプ式チリングユニット(COP=4、空冷式)に更新したケースの試算では、エネルギー消費量55%、CO₂排出量56%、エネルギーコスト59%の削減となった。

参照:
環境省| 業務用エコキュートの導入による NOx、SOx排出量の抑制とコスト削減の実現
環境省|環境省「温室効果ガス排出削減等指針」削減対策の絞り込み検索 「高効率チリングユニット・ターボ冷凍機等の高効率なヒートポンプ空調システムの導入」

低炭素燃料への転換

工業炉やボイラーといった燃焼設備の使用燃料を、より低炭素の燃料へ切り替えることです。油燃料からガス燃料への切り替えが有効です。将来的には、水素やアンモニアといったCO₂フリー燃料の活用も想定されています。

【メリット】

さまざまな燃料使用設備において、比較的簡単にCO₂排出量を大幅削減できます。

 

【留意点】

  • 多額の初期費用が必要です。
  • 燃料の市況によっては、必ずしもランニングコストを削減できません。

 

【代表的な取り組み事例】

乾燥炉・焼却炉用バーナーを交換し、燃料をA重油から都市ガスへ転換することに加え、燃焼炉缶体への遮熱塗装を実施することで、CO₂排出量を670t-CO₂/年、削減した。

参照:環境省|令和6年度SHIFT事業事例集p.17

中小企業が熱エネルギーの脱炭素化を進める際の課題

このように、熱エネルギーの脱炭素化に向けたアプローチは数多く存在します。しかし、中小企業が脱炭素化を進めるにあたっては、現実的に以下のような点が課題となり、推進が難しいケースもあるでしょう。

  • 費用面の負担が大きい
  • 施策の実行に必要な人員やノウハウが不足している
  • 二酸化炭素排出量の算定方法がわからない

参照:日本商工会議所・東京商工会議所調査|「2025年度中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」集計結果p.19

費用面の負担が大きい

脱炭素施策の実行にあたっては、老朽化した設備の入れ替えやEV導入など、さまざまな場面でコストがかかります。長期的なコスト削減につながる可能性はありますが、短期的な支出が膨らむため、なかなか踏み出せない中小企業も多いでしょう。

とくに熱エネルギーの場合、脱炭素化を推進するには、加熱炉や熱処理などの工業炉を変更する必要があります。また、製品によって燃焼方法や制御技術が異なるため、基体ごとに炉をオーダーメイドで設計する必要があり、さらにコストが膨らみやすいでしょう。

参照:経済産業省|「製造分野における熱プロセスの脱炭素化」に関する国内外の動向についてp.3

施策の実行に必要な人員やノウハウが不足している

脱炭素施策の設計や実行、効果測定などには、専門知識を持つ人財が必要です。中小企業は人員が限られるため、脱炭素施策を運用できる人財を確保するハードルが高く、ノウハウも活用しにくいでしょう。

二酸化炭素排出量の算定方法がわからない

脱炭素施策を設計するには、企業全体における二酸化炭素排出量の算定が必要です。さらに算定後は、電力排出係数変化見込や目標年見込といった項目の数値も必要なため、脱炭素への取り組み経験がない中小企業では、対応が難しいかもしれません。

三菱HCキャピタルグループの「省エネソリューション」では熱エネルギーの脱炭素に取り組む中小企業を手厚くサポート

三菱HCキャピタルグループの「省エネソリューション」では、上記の課題を解消し、熱エネルギーの脱炭素施策をスムーズに進められるよう、中小企業を手厚くサポートしています。補助金活用もサポートしているため、資金面に不安がある中小企業でも、熱エネルギーの脱炭素に向けた取り組みをスムーズに推進可能です。

その他にも、三菱HCキャピタルグループの脱炭素施策の取り組み支援として、以下のサービスをご利用いただけます。

  • ソーラーPPAサービス:太陽光発電設備を自己資金で投資する際の課題を解消しつつ、電気料金のコスト削減につながるスキームを提供いたします。
  • 補助金活用ファイナンス:三菱HCキャピタル株式会社が主に取り扱う、省エネ・省CO₂に関連する補助金を活用したリースの取り組みをサポートするサービスです。
  • CO₂可視化支援サービス:中小企業のお客さまを中心として、脱炭素化に向けた取り組みの第一歩である「①CO₂排出量の把握」「②削減目標の設定」をご支援いたします。
  • EV 4 CHANGE: 独自のEVコンサルテーションプログラムを通じ、EVの導入準備から運用方法までをサポートし、お客さまのカーボンニュートラルにおける目標達成に貢献します。

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